これがこんなところにあるということは、まさか、もしかして…。
「薫ー、いるの?」
玄関のドアが開いた音と、私の名前を呼ぶ遊晴の声で、私はハッと我に返った。
慌てて私は鏡をベッドの下に隠す。
「お、お帰り!遊晴!」
取り繕った笑顔で、私は玄関に行き遊晴を出迎える。
時間はもう0時を回るところ。
明日も遊晴は仕事。
少しだけその顔が、疲れているように見えた。
私と3歳しか年が離れていないのに、最近、老けたようにも感じる。
優しい目尻には薄い皺。
それすらも、愛おしいと思う。
「先に寝てても良かったのに」
苦笑いを零す遊晴に、私は抱き着いた。
「遊晴を待っていたかったの」
遊晴の首の辺りに、私は顔を埋めた。
ほんのり甘い匂いがする。
私は必死に気のせいだと言い聞かせ、小さく深呼吸をひとつ。
「…薫、甘えてるの?」
耳元で低く囁かれ、私の知っている、私だけの遊晴だと安堵感が沸き上がる。
今はあの女と浮気している遊晴。
だけど、「遊び」でしかないと思うんだ。
あんな馬鹿そうで派手な女だもん。
大丈夫、遊晴はきっと、そのうち私の元に帰ってくるよ。
その不確かな自信だけが、今の私を支えている。
END.
「薫ー、いるの?」
玄関のドアが開いた音と、私の名前を呼ぶ遊晴の声で、私はハッと我に返った。
慌てて私は鏡をベッドの下に隠す。
「お、お帰り!遊晴!」
取り繕った笑顔で、私は玄関に行き遊晴を出迎える。
時間はもう0時を回るところ。
明日も遊晴は仕事。
少しだけその顔が、疲れているように見えた。
私と3歳しか年が離れていないのに、最近、老けたようにも感じる。
優しい目尻には薄い皺。
それすらも、愛おしいと思う。
「先に寝てても良かったのに」
苦笑いを零す遊晴に、私は抱き着いた。
「遊晴を待っていたかったの」
遊晴の首の辺りに、私は顔を埋めた。
ほんのり甘い匂いがする。
私は必死に気のせいだと言い聞かせ、小さく深呼吸をひとつ。
「…薫、甘えてるの?」
耳元で低く囁かれ、私の知っている、私だけの遊晴だと安堵感が沸き上がる。
今はあの女と浮気している遊晴。
だけど、「遊び」でしかないと思うんだ。
あんな馬鹿そうで派手な女だもん。
大丈夫、遊晴はきっと、そのうち私の元に帰ってくるよ。
その不確かな自信だけが、今の私を支えている。
END.


