遊晴(ゆうせい)がシャワーを浴びる時間は、私の携帯チェックの時間。
無防備にテーブルに投げ出されたそれを、こっそり手に取る。
黒くて少し古い遊晴の携帯は、まるで自分のそれのように自在に操ることができる。
かけられたロックの解除番号は、遊晴の携帯番号の下4桁。
解除するのに随分と手こずったけど、解除成功してしまえばこっちのもの。
メールの受信箱を開けば、ああ、やっぱり例の女からのメールがずらり。


「送ってくれてありがとう。楽しかったよ!」

「来週はいつ会える?」

「駅ビルで可愛いワンピース見つけたの。買おうか悩んでるから、遊晴に見て欲しいな」


やっぱり、昨日もこの女と会ってたんだ…。
遊晴に隠蔽された事実が、携帯ひとつで目に見えるように分かる。
女からのメールを見るたびに悲しくなって、だけど、やめられなくって。
送信メールも、同じ様に見てしまうんだ。


「俺も、里奈に早く会いたい」














会社の屋上は、ぽかぽか日だまりで、お昼ご飯を食べるのには絶好のスポット。