問題山積み

もしかしたら涼平にそう言われたら、あっさり大地から離れることができたかもしれない。
でも、私のゴールは大地だった。
大して親しくないであろう伊藤さんにすら「結婚します」なんて言っちゃうような、浮かれた大地に行き着いた。
そんな大地が、出会った時からずっと好きだった。


「…沙枝、泣いちゃった…」

「…うるさいなー。そういうことは言うもんじゃないよ!」


リングのダイヤモンドを、汚い涙が濡らす。
くだらないレースの上を、私は大地と涼平を走らせていた。
そんな最低なことってある?
そんな私が、幸せになれる?
私が欲しかったのは、「安心」と「安定」と、「幸せ」な結婚。
女の子なら、誰しも望むものでしょう?
残念ながら前者のふたつはおそらく叶わない。


『好きって気持ちだけじゃ、結婚できないわよ』


それでも私は、最低な過去を背負って「好き」という気持ちだけで結婚する。









END.