問題山積み

美味しくないと感じることもできない。
大地はそんな私をじっと見ている。


「それでも、俺が沙枝を幸せにしたいんだ。他の誰かに幸せになんてさせたくない。こんな分際でできるのかよって思うし、なんていうか、上手く言えないけど…」


ライターのくせに、なぜかこういうことに関しては口下手なのが大地という男。
まひるにインタビューをしている時は、気持ち悪いくらいすらすらと言葉を紡いでいくのに。
それでも、私は黙って大地の言葉を耳に流し込む。
周りのざわつきの中から、一生懸命くぐもる大地の声を拾って。


「沙枝を誰よりも愛しているのは俺だから。それだけは保証する。誰にも負けない」


こんな居酒屋には似つかわしくない台詞。
それでも、私はずっとその言葉を聞きたかった。
それは誰でも良かった?
例えば、涼平であっても?
それは私にも分からない。