呼び出した理由がそれかと思うと、私はどう反応していいか分からない。
「それはこっちの台詞だもん。連絡してもちっとも返事が返ってこないし!」
咄嗟に出てきたふて腐れた台詞に、大地は「ごめん」と一言謝った。
「ごめん」なんて、もう聞きたくない。誰のだって。
仕事中、私は未だ中指につけっぱなしだったエンゲージリングを薬指につけ直した。
中指につけることに慣れてしまったリングを本来の場所にするというのは、違和感がある。
何より、私はこれで正式に大地の婚約者なのだということが。
伊藤さんはまひるの撮影立ち合いで、今日は出社しなかった。
伊藤さんがいたら、口には出さずともきっと私の薬指にリングがあることに気づくはずだ。
何に対しても興味がないくせに、洞察力は抜群だから侮れない。
「ずっと、仕事が立て込んでいて…」
「それはこっちの台詞だもん。連絡してもちっとも返事が返ってこないし!」
咄嗟に出てきたふて腐れた台詞に、大地は「ごめん」と一言謝った。
「ごめん」なんて、もう聞きたくない。誰のだって。
仕事中、私は未だ中指につけっぱなしだったエンゲージリングを薬指につけ直した。
中指につけることに慣れてしまったリングを本来の場所にするというのは、違和感がある。
何より、私はこれで正式に大地の婚約者なのだということが。
伊藤さんはまひるの撮影立ち合いで、今日は出社しなかった。
伊藤さんがいたら、口には出さずともきっと私の薬指にリングがあることに気づくはずだ。
何に対しても興味がないくせに、洞察力は抜群だから侮れない。
「ずっと、仕事が立て込んでいて…」


