問題山積み

だけど汚い。全部、汚い。


「もう嫌だ…あんたと同じ空気を吸っているのも虫酸が走る」


わざとじゃないけど、私は部屋中に篭るような盛大な溜息をついた。
涼平の肩がぴくりと動いた。


「俺、どうしたら…」


ぼさぼさの野暮ったい眉毛を八の字にして、私の目を見た。
その瞬間、僅かに残っていた私の理性は一瞬にして消えた。


「てめえで考えろ!」


じいんと右の掌が熱い。
そう感じる頃には、私はもう外にいた。















駅に向かう道すがら、少しずつ冷静さを取り戻していく。
夜風が冷たく鼻先を掠めた。
元々怒りが持続するような人間じゃないんだ、私は。
涼平と心底結婚したいと思っていた。
涼平と結婚すれば、私の人生は心配ないと思っていた。
結婚が決まれば、大好きな大地のことも忘れられるだろう…と。