問題山積み

要領よく生きてきた。
何もかも上手くやってきた。
そんな私が、目の前の涼平を殴りたい衝動に駆られている。
殴って、めちゃくちゃにして、殺してしまいたい衝動に。


「そもそも、合コンに行っただなんて聞いてない!」


一度怒声を上げてしまえば、あとはもう引っ込みがつかない。
坂道を転がるように、私のボルテージが加速していく。
涼平は、見ていられないくらい萎んで小さくなっていく。
なんて惨めな姿。みっともない男。
私は、こんな男との結婚に憧れていたのか。
こんな、肩書きしか取り柄がないっていうのに。
何もかもが、崩れていく。


「…ごめん…」


オウムのようにそれしか繰り返さない涼平に、私はそれが真実なんだとようやく理解できた。


「なに、それ…。全部欺いていたってことじゃない…」

「だけど、その子とはそれっきりで…」

「ひとつ嘘をつくのも100嘘をつくのも変わんねえんだよっ!」