「ごめん…」
否定の言葉が欲しいのに、涼平の口から漏れたのは謝罪のそれだった。
涼平は私の目を見ようとしない。
私だけが、俯く涼平の前髪の辺りを穴が開くくらい見つめている。
「いや、『ごめん』じゃなくてさ」
笑える状況じゃないのに、笑いが込み上げて来る。
不謹慎だけど、笑うしかないってこういうことかもしれない。
「酔ってたんだ。酔ってて…それで…」
いい歳して、子供みたいな言い訳しか出てこない涼平に、腹が立つというより呆れて上手く口が開かない。
今まで経験したことがない、胸の奥がぐうっと凹んでいく感覚。
「酔ってて、合コンで知り合った子とエッチして?それで妊娠しちゃったって?…はっ、誰が納得できると思う!?」
吐き捨てるように笑って、私はガラステーブルを拳で叩いた。


