問題山積み

あの時のプロポーズは、ちっとも真実味を感じさせない。
未だ薬指につけられていないリングを不敏に思う。


『好きって気持ちだけじゃ、結婚できないわよ』


不意に、結婚していった友人達の言葉を思い出した。
大概の子達は、冗談混じりにそんなことを言う。
大恋愛の末…と言うと些か大袈裟だけど、ラブラブバカップルのまま結婚していった子でさえも、そう言って笑っていた。
その時は、説得力に欠けているなあなんて感じたっけ。
それなら、皆、何を決め手に結婚していくのだろう。












こういう時こそ外の空気を吸いに行きたいのに、こういう日に限って外出する用事がなく、ただただ事務作業に明け暮れた。
そして奇妙なことは不思議と重なるもので、夕方、涼平から「会えないかな?」というメールが来た。