問題山積み




「…え?」


聞き間違いだろうか?
それを確かめるより先に、伊藤さんは私の疑問を放置して、外に出て行ってしまった。














なんとか仕事が一段落して、私は大地に電話をした。
分かりきっていたことだけど、大地は電話には出なかった。
大地、今日は何の仕事なの?全然知らない。
伊藤さんはまた外出してしまって今日はもう会社に戻らないと言うし、なぜ伊藤さんがあんなことを言ったのか、真相は分からないまま。
もどかしい気持ちで私は仕事を進めていく。
集中なんてできない。
どうしてこういう肝心な時…話したい時に、大地とコンタクトが取れないんだ。
こんな状況で私と結婚したいだなんて、ちゃんちゃらおかしいったらありゃしない。
中指のエンゲージリングが時折視界に入っては、眩しく光った。