問題山積み

だからこそ可能な二股だ。
「お父さんが厳しいの」と言えば、面倒事が嫌いな男子は大概その一言で寄りつかなくなることを、なんとなく悟っていた。
実際は厳しいなんて大嘘。
私のやることなすことに、全く干渉してこない。
母親も同じく。
それをいいことに、私は大地の存在も涼平の存在も両親に明かしていない。
もっとも、それなりに気付いてはいるんだろうけどさ。


「ほんと、しょうがねえなあ」


涼平は微かに笑って、私の頭を撫でた。
私の予想していた通りのリアクションに、私は小さなほっと安堵の溜息をつく。
涼平は私を溺愛している。
それに胡座をかいている、と言われたら、否定はできない。
でも、涼平はなかなか「結婚しよう」だとか「結婚したい」だとかを言ってはくれない。
だから、大地からのプロポーズに対して私はまだ「ごめんなさい」と言えないんだ。