問題山積み

ちょっと腹立たしいけど、今までも大地とはこんな感じだったから、今更感情的になるのは違う気がした。


「沙枝?」


涼平が、私の顔を覗き込む。
涼平とデート中だと言うのに、うっかり大地のことを考えていた自分がいたことに気付く。


「あー…ごめん、考え事してた」

「仕事のこと?」

「うん。明日の撮影のこと」

「大変だな、マスコミ業界も」


私を膝の間に挟んでいる涼平が、苦笑いを零す。
さらりと嘘が出てくる自分に、僅かに嫌気がさした。


「休みの日くらい、忘れなよ」

「…んっ」


涼平が私を抱く腕を強め、その大きな手で私の頭を優しく撫でた。
小学生教諭の涼平と会えるのは、決まって土日。
私の仕事の休みも、基本的に土日。
お互いの休みが合えば、必然的に理想的なカップルのデートを重ねることができる。