そんな私の感情など、大地もまひるも知る由もない。
「…どうぞ、佐伯さん。お掛け下さい」
ロの字に並べた長机の角のパイプ椅子に、素知らぬふりで大地を促す。
私と大地で、まひるを挟むような席並び。
それからまた1週間、大地からは音沙汰なし。
大地から貰ったリングだけが、私の左手の中指で輝いていた。
ずっとずっと憧れていた、1粒ダイヤモンドのリング
ちょっと大きめのダイヤの両脇には、小さなダイヤが一列整然と並んでセッティングされている。
ブランド物じゃないようで、箱の内側にも外側にも、リングそのものにも何も書かれていない。
リングの裏側、白い地金には、プラチナを示す刻印が入っている。
これがエンゲージリングってやつか…リングを見つめるたびに、私はしみじみ思った。
私がリングを嵌めているところは、大地はまだ1度も見ていない。
「…どうぞ、佐伯さん。お掛け下さい」
ロの字に並べた長机の角のパイプ椅子に、素知らぬふりで大地を促す。
私と大地で、まひるを挟むような席並び。
それからまた1週間、大地からは音沙汰なし。
大地から貰ったリングだけが、私の左手の中指で輝いていた。
ずっとずっと憧れていた、1粒ダイヤモンドのリング
ちょっと大きめのダイヤの両脇には、小さなダイヤが一列整然と並んでセッティングされている。
ブランド物じゃないようで、箱の内側にも外側にも、リングそのものにも何も書かれていない。
リングの裏側、白い地金には、プラチナを示す刻印が入っている。
これがエンゲージリングってやつか…リングを見つめるたびに、私はしみじみ思った。
私がリングを嵌めているところは、大地はまだ1度も見ていない。


