「今年はさ、いい加減そのダサい眼鏡やめて、きちんと化粧したら?仕事がない日は引き篭ってるし、暗いし。だからいい歳して友達少ないんだよ。こんなんじゃあいつまで経っても彼氏なんてできやしない」
よくもまあそんなに一気に喋ることができるもんだと、頂点に向かう自らの苛々を感じながら客観的に思った。
見たくもない顔なのに、あまりの怒りについその口元に目が行ってしまった。
薄い唇は、つやつやのグロス。
低いはずの鼻は、どうやって化けているのか、化粧のお陰でそれを感じさせない。
幼い頃から、よく「千代子ちゃんと美和子ちゃんはよく似ているわね」と親戚や近所のおばさん衆に言われていた。
だけど、私と美和子は似て非なる者。
私はこんなに失礼な女じゃない。
こんなにすっからかんの頭をしていない。
大嫌いだ、美和子も嫁も。


