食事を済ませると、私は鞄から文庫本を取り出し、横になってページを開いた。
大部屋に行けばいろいろな漫画がずらっと並んでいる。
でも、それも殆ど読みつくしてしまった。
待機の時間が、私は好きだ。
漫画を読むのも、ここでご飯を食べるのも、寝るのも。
なんとなく、ここで過ごすのが好きだ。
部屋はしんとしていて、時折、どこからかカチカチと携帯をいじる音や、通話の小声が聞こえる。
その通話の内容も、指名が入ったという店長からの連絡ばかり。
「お疲れ様です。はーい、今行きまーす」という、決まりきった声が、あちこちから聞こえる。
私達は、指名が入ると携帯に電話が入るようになっている。
それまでは自由時間ということ。
もっとも、その自由時間は少ない方がいいのだけれど。













しばらくして、テーブルの上に放置していた携帯が鳴った。
言わずもがな、発信者は店長。