相変わらず愛里ちゃんは折れそうなくらい細くて、なのに全然不健康そうじゃない。
生れつき細いって羨ましいな、やっぱり。
服を着てるんじゃなくて、服に着られているみたい。


「ごめんね、待たせて」

「今来たとこだよ」


立ち上がって、空になった缶コーヒーを手に取り、すぐ側のごみ箱に押し込んだ。













クレープ屋の店先のベンチに腰掛け、二人で並んでふわふわのそれを頬張る。
一口かじるごとに生クリームが溢れて、幸せな気持ちになった。
甘いものって、どうしてこんなにも人の気持ちを豊かにするんだろう。
このクレープ、何カロリー?
頭を過ぎるが、朝ご飯も昼ご飯もこの為に軽くしか食べなかったんだもん、気にしちゃ駄目だ。


「亜樹ちゃん、なんか顔色いいね」


何の脈絡もなく、愛里ちゃんが私の横顔にそんなことを言った。


「そう?普通じゃない?」


普通だと返してみるも、自分の顔色なんて、気にしたことがないわ、そう言えば。