愛里ちゃんに「一緒に食べに行こうよ」と呼び出されて、愛里ちゃんの大学まで赴く。
愛里ちゃんは授業のある日だから、大学の学食に忍び込んで無糖の缶コーヒーを啜りながら、窓際の席について愛里ちゃんを待っていた。
差し込む斜陽が暖かくて気持ちいい。
授業が終わるまで、あと5分。
暇潰しがてら携帯でインターネットを見ていたら、圭君からのメールが入った。
最近は電話ではなく、メールの方が多い。
突発的な電話より、コンスタントに送られて来るメールの方が嬉しい。
そんなことを零したら、それから引っ切りなしにメールを寄越すようになった。
案外単純な人。
そのメールを開こうとした瞬間、


「亜樹ちゃーん」


か細いシルエットが、ぱたぱたと靴を鳴らしながら駆け寄ってきた。


「愛里ちゃん!」


すぐに鞄の中に携帯を押し込む。
圭君からのメールなんて、二の次二の次。
どうせ後で会うんだもん。