問題山積み

だけど私がここの住所を口走ったのは、圭君の声がいつものふざけたそれじゃなかったから。


『ちょっと待ってろ』


私は生返事しかしていないのに、圭君は勝手に話を進めて電話を切った。
相手を失った携帯を力無く手放し、ごろんと仰向けになる。
なんだか、自分が情けない。
痩せたいのは、綺麗になりたいから。
女の子だもん、そう思うのは当然でしょ。
だけど私は、その手段を誤ったようだ。
今の私はちっとも綺麗じゃない。
真っ白い天井をぼんやり見つめていたら、ふと、思い出したことがあった。
…ああ、そうか。イケメンの圭君と一瞬に歩きたいから、痩せて綺麗になりたいっていう理由もあったんだっけ。














1時間も経たず、チャイムが鳴った。
それが圭君だと知っていたから、私は確認もせずにドアを開ける。


「無防備すぎだろ」


私の額を小突く圭君は、困ったように笑っている。