「…ありがとう」
「うん?」
圭君は私の言葉を理解していないようで、いつものように、ただにこにこと私のことを見ていた。
そのことと後悔は全くの別物。
自分のお腹の張り具合に気付いたのは、料理を全て食べ終え、3杯目のアルコールを飲みかけていた時のこと。
「どうした?」
話の途中で、圭君がふとそんなことを聞いてきた。
「えっ?」
「なんか、険しい顔してる」
首を傾げる圭君。
「やばい」という私の心理は、どうやら顔に出ていたみたい。
「なんでもない」
慌てて笑顔を取り繕うも、駄目だ、顔が引き攣る。
満腹――そうだ、これが満腹の状態なんだ。
久しく感じていなかったその状態にすっかり耐性を失っていた私は、胃が気持ち悪いとしか思えない。
自分が口に入れたものをざっと振り返ると、ここ数日食べていた量、カロリーの何倍もあることに気付いた。


