「痩せてるよ。それ以上痩せたら、可愛いげがなくなっちまう」
圭君はそう言って、生春巻をもう一つ皿に乗せた。
春雨と野菜と鶏肉を巻いたそれは、食べてみると見た目よりずっとボリュームがある。
それなのに、いくら食べてもお腹が満たされる感じがしない。
ここの料理は、圭君が言う通り何でも美味しい。
「圭君は、いつも私を褒めてくれるね」
思いきって圭君が取ってくれた生春巻にかぶりついた。
「そりゃ、亜樹が可愛いからな」
さらりと言う圭君の言葉は、全く毒気がない。
それでも、もっと圭君に褒められたいと願う。
そう言われることで自分のちっぽけなステイタスを守っているからかもしれない。
自分でもくだらないとは思ってるんだ。
くだらないけど、自分が女の子である以上はそれが然りだから。


