「…傘持ってない?」
「…ないですね」
「…じゃあいい」
再び雨を睨む
傘を持って無いなんて
終わってる
「乗りませんか?」
「乗らない。」
「どぉしても乗る気になりませんか?」
「ならない」
「では、そこのコンビニまで、乗りませんか?」
「は?」
「何アホズラしてんですか?」
「なんでコンビニ?」
「コンビニに傘売ってると思うので」
「一人で行ける」
「止めて下さい。」
止めて?
待ってじゃなくて?
そのまま、雨の中に足を踏み出そうとした
ガシッ
あたしの手を掴む
「なに?」
「どぉしても乗りませんか…?」
「乗らないから。」
「…走って帰るのだけは止めてあげて下さい」
「は?」
「傘も差さずに帰るなんてあなたの周りを通る皆さんに失礼です!」
「は?!」
「ずぶ濡れになったあなたを見る人が可哀想ですよ!」



