「碧くんは特にそういう“声”が気になったのかもしれないわね」
「どういうことですか?」
先ほどと変わらず視線は床に向いたまま朔夜さんがそう呟いた
「さっき話したとおり、貴方は私の脳内に直接話しかけてきた。
つまりそれが貴方の能力で、おそらく相手の感情とかも読み取れるものだと思うわ」
声を出さずに伝えることと相手の感情を読み取れる力…
それを聞いて何だか妙にしっくりきた
「それは気持ち悪がられてもしかたない、ですね
それこそ本当に化け物みたいだし」
そう呟けば、さっきまで優しく背を撫でていた手が離れて、今度は両頬を強い力で挟まれた
「父さん?」
「儂は、碧のことまだ全然わかれへん。
せやけど、碧は化け物ちゃうやろ!」
「…そんなこと言ったって、今はまだ僕の力を見ていないからそんな風に言えるんだ!!」
違う、こんなこと言いたいんじゃない
「きっと父さんだって、気味悪がって離れるんだろ…」
父さんは、そんな人じゃない
「だったら優しくなんてするなよ!!!」
そう叫んで、すぐに後悔した
父さんの顔が見れず硬く目を瞑れば、涙が零れた