「もしかしたら、前にこういうことがあったのかもしれない」
「こういうこ?」
「能力を知られて、親しい誰かに嫌われてはなれていくことが…」
だんだん視線が落ちていく
二人の顔を見ていることができなかった
「儂もこんなん言いたないけどそれはたぶん碧が過去にほんまに体験したことやと思う。」
少しいつもより感情のない声で父さんがつぶやいた
「昔は、そうじゃなかったのにね…
私も同じ経験があるわ、というより最近の子達はだいたいみんな経験してる」
その言葉に思わず顔をあげて朔夜さんの方を見る
そこには僕と同じように俯く朔夜さんいた
「人間いうんはしょうもない生き物や。
利用するだけして用無しになったらポイ、他と違うところがあれば蔑み忌み嫌うんやからな。」
父さんも辛そうに顔を歪めた
「でもな、碧。
ここの研究所にいてる人間にはそんな奴らはいてへん。
まして儂が碧嫌いになるとか気味悪がって離れたりなんか絶対しやんよ」
ポンと手を背に当てられ優しく撫でられた
また父さんの言葉に暖かさに救われる