ゆっくりと雪の積もった場所に近付いていく
サクサクと音を立てながらも声だけはしっかりと聞こえるように耳をすます


『タスケテ』



あぁ、間違いない
この子は此処にいるんだ


冷え切った指を雪に沈め、雪をかき分ける

指先がどんどん冷えていき感覚がなくなっていくが今は気にしていられなかった


掘り進めて行けば、見えてきた人間の肌に目を見開く


早くしなきゃ死んじゃう!


冷たい体温、色の変わった肌

生きているかすら分からない


そんな時、頭に響いた“あの声”

『生キタイ、タスケテ』


止まってしまっていた手を、先ほどより早く動かす。

この子を助けるために


「大丈夫、大丈夫よ」