時が、止まったような気がした。 「そっ、か……」 そうだよね…… 和弥にだって好きな人くらい……。 「って言っても、向こうは俺のことなんて何とも思っちゃいねーけどな」 和弥は困ったように笑って見せた。 けど。 そんな和弥の姿は、私には全然笑えなかった。 「気が強くて、生意気だけどさ…。すげぇ可愛くて、俺が守ってやりてーって……」 「そう…なんだ…」 まだ寒さが残る四月。 好きな人と並んで歩く道は、なぜかすごく寂しかった。