大好きだし、あいしてるし、側に居たいのにそれだけでは駄目なんだって。
愛してるも、大好きも、意味のない言葉になるんだって。
触れた肌を今は焦がれても、いつか忘れる日がくるんだって。
こんな風に恋したなって笑える日がくるんだって。
おばあちゃんになったら、おじいちゃんになったら、君はきっと思い出になるんだって。私もあんなに熱い時期があったわ、って。

宙ぶらりん
ぐちゃぐちゃの心、想いようのない慕情、霞まない面影、いとしい輪郭
「嘘つきだよね、大人は」
全部ばかみたいだったって思える日がくるのよ、って私に話すおばあちゃんの目はいつも透明に光るのに。


「思い出は苦しいんだって。愛が大きく深い程苦しいんだって。」

もうすぐ本当を嘘にしなきゃならない日がくるよ。君を乗せる輿がやってくるから。

「愛してるよ。」

僕もおじいちゃんになったら、君を浮かべて嘘をつくんだろうね。



君を想って嘘をつく