トリプルトラブル【完】

 「私が説得しました。それが一番美紀ちゃんのためになると思って」

やっと沙耶が言った。
沙耶も祖父の喜んだ顔を曇らせたくはなかったのだ。


「こんな……自分の女房も守れなかった男です。あの時俺が運転していたら……そんなことを何時までもイジイジと考えてしまうような男です。それでも愛しています。胸が張り裂けるほど、美紀を愛しています。美紀に誰が憑依していても構わない。その人を含めて、全身全霊で愛したいと思います」
正樹は正直に美紀に対する愛を告白した。


祖父は泣いていた。
智恵が愛した正樹。
その正樹が、智恵が憑依していることを承知で……

いや憑依しているからこそ愛してくれると言う。

祖父は正樹に感謝した。
正樹に其処まで決意させてくれた沙耶に感謝した。