「ところで、彼女の旦那さんってどのような人だったのですか?」
正樹は一番聞きたい質問をした。
「あの子も駅で保護されたと聞いているわ。二才年上だったのかな?」
元施設長は、手持ちのアルバムを出してきた。
「同じ時期に此処で出会ったのよ。彼は三歳児だと思われた。駅のホームに置いてきぼり。母親の顔が判断出来年頃でしょう? きっと辛かったと思うわ」
涙で声がかすれる。
「ごめんなさい。この頃涙もろくなっちゃって。似たような境遇だったから二人はいつも一緒にいたわ。まるで兄妹のようだった。智恵さんは乳児院から此処へ移されて心細かったのね。彼にベッタリだったわ」
そう言いながら、新聞の記事のストックの中から一枚を取り出した。
それには美紀の本当の父親・結城真吾の死亡記事が載っていた。
結城真吾は園長が名付けた名前ではなかった。
智恵と結婚するあめに真吾自身が選んだ名前だった。
同棲中から。
デビューする前から。
彼はそう名乗っていた。
誰もが本名だと疑わなかった。
でもそれは、それを本名にするための手続き。
真吾と智恵が結婚するためだったのだ。
正樹は一番聞きたい質問をした。
「あの子も駅で保護されたと聞いているわ。二才年上だったのかな?」
元施設長は、手持ちのアルバムを出してきた。
「同じ時期に此処で出会ったのよ。彼は三歳児だと思われた。駅のホームに置いてきぼり。母親の顔が判断出来年頃でしょう? きっと辛かったと思うわ」
涙で声がかすれる。
「ごめんなさい。この頃涙もろくなっちゃって。似たような境遇だったから二人はいつも一緒にいたわ。まるで兄妹のようだった。智恵さんは乳児院から此処へ移されて心細かったのね。彼にベッタリだったわ」
そう言いながら、新聞の記事のストックの中から一枚を取り出した。
それには美紀の本当の父親・結城真吾の死亡記事が載っていた。
結城真吾は園長が名付けた名前ではなかった。
智恵と結婚するあめに真吾自身が選んだ名前だった。
同棲中から。
デビューする前から。
彼はそう名乗っていた。
誰もが本名だと疑わなかった。
でもそれは、それを本名にするための手続き。
真吾と智恵が結婚するためだったのだ。


