水晶の涙




『……ぇ?』

さっきまで賑やかだった辺りは、一瞬で静かになった

犬のぬいぐるみの中にいる子の動きも、止まる


「…アリア、だよな?」

木々でまだ、姿はハッキリとは見えないけど、声で誰なのかは分かる


『…カイ、君。』


「ああ。…他に誰か居るのか?」


『き、来ちゃダメっ!』


止めた時にはもう
時既に遅く


「…!こいつらは…」

カイ君は皆の姿を見ると、直ぐにポケットの中から赤い石を取り出し、前に突き出した


「!…――」

「――っ!」

その行動を見て、直ぐさま
'攻撃される'

と、認識した皆は、目を鋭くさせ

ぬいぐるみに憑依した皆の背中からは、黒い霧状のものが、ゆらりと出始めていた