水晶の涙





「…じゃあ…行ってきます!」



スクバを肩に掛け直して、玄関でまだ新しいローファーに足を入れて

ドアを開ける。



「行ってらっしゃい!本当に、何時でもいいから遊びにおいでね!」


「体には気をつけろよ?」


「うん!」


手を振るチナおばさんとタナおじさんに、私も走りながら手を振替した。


これでもか!
って位の笑顔を浮かべながら…。








「…よし、頑張るもんね!」



暫く走って、ポケットの中から水晶を取り出して、握っていた巾着袋に入れた。



「やっぱり可愛いな〜っ」



目を輝かせながら巾着袋の紐(ヒモ)を、スカートのフックの直ぐ下に取り付けられた、小さな金属の金具に括り付けた。


本当は何に使う金属の部分から解らなかったけど…「引っ掛けるのに丁度いいし、いっか!」と別に気にしなかった。