片思いしてます

その瞬間、私の体が抱き寄せられ、私は、扉側に移動させられる。




「…」



顔を上げると、私の片思いの人が私を心配そうに見ている。




「…」



私は、痴漢の恐怖と、恥ずかしさ、悔しさ。




いろんなことで頭が混乱していた。




その人にお礼を言わないといけない。




でも、どう言えばいいかわからず、目を伏せてしまった。




電車は何事もなく進んでいる。




そうしているうちにいつのまにか、電車は終着駅に着く。




乗客は、ぞろぞろと電車を出ていく。




あの人も。




何か言わないと。




そうしているうちにその人は、どんどん先を歩いていく。




今言わないと。




私は、小さくなるその人の背中を見る。




「…」



無意識のうちに私は、走り出していた。