気づいたらもう、ずっと特別。

そういう台詞は誰に対しても言っていいとは限らないと思う。

例えば、今みたいなときは特に相手のプライドを傷つける。





放課後。体育館裏。

お決まりのパターン、呼び出し。


「佐山さんさぁ、遥のお姉さんだからってあんまり調子に乗らないでくれる? 見ててウザい」


そう言って、女子生徒5人組のうちの1人の子が、腕組みをしたまま威圧感に見下ろしてくる。

彼女たちは遥のクラスメイトで、やむを得ない用事で会いに行くと、いつもわざと聞こえるように陰口を浴びせてくる子たちだ。

名前は知らない。

知っているのは、クラスと顔と、その性格の悪さくらいか。


「ちょっと。佐山さん、聞いてんの? 返事くらいしなさいよ」

「…あ、はい。すみません、これからは気をつけます」


言うと。


「親の結婚で姉弟になったらしいけど、本来、佐山さんみたいな地味な人は遥と住む世界が違うの。そこのところ、分かっといて」


捨て台詞を残して、その場を離れて行こうとした。