当時は、画家を目指していて、うちの店に絵を飾ったりしていたんだ。
大学の途中にあったこの店に毎日顔を出していた常連さん。
お母さんの具合は悪くなってから、毎日学校帰りにこの店に来ていた私は、大学生の片桐さんに恋をした。
叶わぬ恋だなんて最初からわかっていたんだ。
でも、中学1年の私には何もかもが素敵に見えた。
ちょっと長めの髪。
ピアス。
ネックレス。
ごつごつした時計。
切れ長の目に、高い鼻に・・・・・・大きな口。
笑うと顔の半分が口って感じで。
その笑顔が大好きだった。
うん。
今も・・・・・・大好きなんだ。
同級生なんて、恋愛対象になるわけがなかった。
身近にこんなに素敵な男性がいたんだから。

