「多分ね、優海の想像の中での彼氏像と違うんじゃない?結構強引でSっぽい彼氏になりそうなのに、そんなに甘くて優しくて尽くしてくれて・・・・・・そこに戸惑ってるっていうか、まだついていけてないっていうか・・・・・・」
その通りだと思った。
私は何年も何年も想像していた。
“もしも片桐さんと付き合えたら”って。
その想像の中にいる片桐さんはいつもの片桐さんで。
“おい、優海。今から俺んち来て部屋片付けて”とか
“会えなくても俺のこと信じてろ”とかそんな感じの・・・・・・
「まさか、会いたいなんて言ってくれると思わなかったの」
「そうだよね。想像をはるかに超えた最高の彼氏だもんね。あんたは経験ないから、体も心もびっくりしてんじゃない?」
康子に相談したおかげで少し心が軽くなった。
康子の言う通りだった。
両思いになれたことはめちゃめちゃ嬉しくて・・・・・・
泣いちゃうくらいに幸せなの。
でも、私の方が愛が大きいはずだったのに、片桐さんの愛も大きくて・・・・・・
それにちゃんと応えられるのか不安というか。
どうすれば片桐さんを満足させられるんだろう、ってそんなことを考えてしまう。
何もできない私が、片桐さんの大きな愛をもらっていいのかなって。
「あきらはもうあんたのことを面倒みてくれないんだから。しっかりしなさい」
康子は、私の分のお酒まで飲んだ。
そうだね。
あきら君は、私と片桐さんが付き合えるまで、協力してくれた。
いつも応援してくれた。
片桐さんと付き合えたんだから、もうあきら君には頼れない。
そのことがちょっぴり寂しいんだよね、私は。
別にあきら君のことが好きとか、そういうんじゃない。
それはわかっているんだけど・・・・・・

