片桐さんが私を強く抱きしめてくれている。
顔だけ少し離した片桐さんと目が合う。
「もう忘れた?あきらのこと」
「う、うん」
「もう二度と思い出すな。いいな?」
「はい」
桜の花びらが空から降ってくる。
目を閉じることもできずに・・・・・・
片桐さんからのキスを受け止めた。
キ・・・・・・・・・・・・ス・・・・・・
片桐さんと
キス・・・・・・してる。
「俺のことだけ見てろ。いいな?」
鼻と鼻をくっつけて、片桐さんが言った。
息がかかる距離。
近い。
大好きな片桐さんが目の前にいる。
キスをしてくれた。
倒れそう。
「聞いてねーの?」
「・・・・・・・・・・・・」
声も出ない。
「おい、優海。聞こえてねーみたいだから、もう一回言う」
片桐さんは、私の耳元で小さな声で言ってくれた。
「好きだよ。お前が好きだ」
ずっとずっと片思いだった。
近いようで遠い存在で・・・・・・
片桐さんは大人で
私は子供で。
妹としてしか見てくれてなくて。
あきらめようって何度も思ったけどだめだった。
片桐さんが大好きで大好きで大好きで・・・・・・

