「許したわけじゃない。でも・・・・・・少しは気持ちがわかるかなって思った部分もあって」
「何、それ。もしかして、そいつと付き合うとか?」
「そんなわけないよっ!好きじゃないし。もう友達にも戻れないと思う」
片桐さん、今・・・・・・嫉妬してくれたの?
違うよね。
また妹として、だよね。
「でも、また会うんだろ?告白したから、その男もこれからは積極的になるかもしれない。なんか・・・・・・心配だな」
「ありがとう。心配してくれて・・・・・・」
「絶対好きになるなよ・・・・・・」
片桐さんは独りごとのように小さな声でそう言った。
私は何て答えていいのかわからずに、小さく頷いた。
片桐さんは窓の外を見ているから私のことは見えていない。
「おい、聞いてんの?」
「うん。好きになんてならない。絶対に」
今度は目を見てちゃんと言えた。
「それでよろしい」
片桐さんは優しい声でそう言った。
期待しちゃう。
片桐さんのバカ・・・・・・
好きになんかならないよ。
航太郎さんだけじゃなく、他の誰も。
片桐さん以外の人を好きになるなんて無理なんだもん。

