メリーゴーランドが動き出し、片桐さんは顔を下に向けて、照れていた。
「何年ぶりだろ、俺」
「ほら、外の人に手を振らなきゃ」
「うるせー!!」
顔を真っ赤にして照れる片桐さんがかわいくていじめたくなる。
夢のような時間だった。
キラキラしたメリーゴーランドの世界の中に入り込んでしまった気分だった。
ねぇ、王子様。
あなたは、いつになったら・・・・・・
私のことを、女の子として見てくれますか?
どうすれば、好きになってもらえますか?
私は王子様のお城のお手伝いさん。
遠くからいつも王子様を見ているだけ。
「お姫様、お手をどうぞ」
すっかり夢の世界に浸っている私に、片桐さんが手を差し出してくれた。
いつの間にか、メリーゴーランドは止まっていた。
「あ、ありがとう」
降りた。
・・・・・・のに、
手が・・・・・・繋がれたまま。
どうしよう。
これって、手を繋いで歩いてるっていうんだよね??
どうしよう!
こんなの生まれて初めてだよ。

