「新作、食いに行くよ。あ、でもお前のバイトの時間、変わったんだろ?」
「そうなんだよね。だから、なかなか会えないかも」
「お前のいる時間狙って行くよ。あ、それにまた飲みに行こうぜ」
「本当に?」
夢じゃないよね。
また戻れるの?
あの頃みたいに。
また、あんな風に月を見ながらいろんな話ができるかな。
いろいろあったけど、私のこと、まだ大事に思ってくれてるの?
私は胸に抱いた月の絵をもう一度見た。
私が、好きって言ったら・・・・・・
片桐さんはどう思うのかな?
びっくりする?
それとも、気付いてたよ、なんて言うのかな。
みゆきさんのことは聞けないまま、時間が過ぎる。
「お前さー・・・・・・、もしかして俺のこと好きだったりした?」
突然、そんなことを言われて・・・・・・
どう反応していいのかわからずに、聞こえないフリをしてみた。
「なー、聞いてんの?」
「あ、うん。え?まっさか~!!」
私は嘘が苦手みたい。
声は上ずってるし、顔から火が出そうに熱い。

