今まで、やりかけてはあきらめていたっけ。
私って、全然いい女じゃない。
こんなんだから、片桐さんにいつまでたっても女として見てもらえないんだよ。
夢を見つけて、輝く女になるぞ!!
康子のおかげで元気が出た。
人生は恋愛だけじゃない。
そう思えた夜だった。
「ねぇ、お父さん。片桐さん、来てないよね」
今日は店でモーニングを食べている。
最近は、早朝から店に出ることが多い。
バイトの子が入りづらい時間帯に私が入るようになった。
「そうだな。来ていないね。寂しいだろう」
私は昔から、一週間片桐さんに会えないだけで寂しがっていた。
そのたびにお父さんは言ってくれた。
今みたいに。
「そのうち来るよ」
そのうち来る。
その通り、今までいつも来てくれていた。
「本当に来てくれるのかな。もう会えない気がする」
「お前がいない時に店に来たら、何か伝えておこうか?」
「う~ん・・・・・・いいや。来たことだけ私に教えてね」
お父さんは、ホットコーヒーの匂いを嗅ぎながら、静かに頷いた。

