沈黙を破ったのは、優一の言葉だった。 「健太郎は、健太郎のかけがえのないヒトを大切にするんだよ」 おれと同じ想いはしないでくれよ…。 と、優一は言った。 「あぁ」 としか、俺は返せなかった。 スゥーッ、はぁ…。 と、優一は大きく深呼吸をした。 「少し話したら、楽になったよ。 ありがとう、健太郎」 おれ、先帰るよ。 と、優一は帰っていった…。 俺はそんな優一の背中を見送った。 泣きそうな背中。 何もしてやれない俺。 優一が無力なら、俺はきっと無能なんだ。