†危険な男†〜甘く苦い恋心〜


「何ですか?」




「何ですかじゃねぇよ。お前、なんでメールも電話も無視すんだよ」




そのことか…。




あたしはフゥと息を吐いた。




「おい、樹里?」




「……返す必要がないと思ったからです」




あたしは雨宮さんを冷たく睨み付けた。




「……これからは戦場を共にする仲間です。この間のことは忘れて下さい。あたしも忘れるので」




「樹……」




「それでは。訓練に遅れるので」




あたしはスッと前を向き、歩き出す。




その時。




――グイッ!!




「ひゃっ…」




いきなり腕を引かれ、すぐ傍の壁に押し付けられた。