†危険な男†〜甘く苦い恋心〜


「……嘘、だろ…」




廉は小さく呟いた。




あたしは廉に歩み寄り、ギュッと彼の服の裾を掴んだ。




「嘘じゃ、ないよ…。あたし…どうしても…やっぱり廉が好き。大好き……廉しか、見えな……」




言い終わらないうちに、あたしの体はフワリと優しい体温に包まれていた。




「れ、ん…」




「……っ…嘘だろ…、マジかよ…」




廉は小さく震えながら、あたしを強く抱き締める。




懐かしい体温。




逞しい腕。




全てが愛しくて……あたしは涙を堪えることが出来なかった。




「……っ…ごめんなさい…廉…。あたしっ…」




「謝るな。……もうお前を離したくない」




スッと体を離され、優しく見つめられる。




「樹里……」




「うん…」




「……愛してる。お前だけを愛してる…」




そっと頬を撫でられ、廉の長い指が涙を拭う。




その優しい指先に…涙は止まることなく、流れ続けた。