――ガチャ…




部屋に着き、廉はあたしを部屋に入れてくれた。




「適当に座ってて。コーヒーでも淹れるな」




「あ…うん。ありがと…」




あたしは前を歩く彼を見つめた。




好き…。




もう、その気持ちが溢れ出しそうだった。




コーヒーなんて…いらない。




あたしが欲しいのは……




「……廉…」




勇気を振り絞る。




これが…最後の賭け。




もしこれで拒絶されたら…あたしはもう……。




「……どうした?」




廉は不思議そうにあたしを見る。




優しい笑顔。




あたしを包んでくれていた、逞しい体。




安心するシトラスの香り。




……ダメ。




もう、押さえられない……。




「……好き…」




「え?」




「好き、なの…。廉の…ことが」




小さく、今にも消えそうな言葉。




“廉が好き。”




その気持ちだけは…変わらない。