「イ、ヤ……」




背中を撫でる、大きな手。




“嫌”なんて口にしてるけど……




ホントはこれっぽっちも、そんなこと思ってない。




離れたくない。




このまま廉の温かい体温に包まれていたい……。




「……樹里、頼む。考え直してくれないか?俺はまだ…お前と別れるつもりなんざない」




「……っ…」




「俺がどれだけお前みたいな女に出会うのに苦労したと思ってんだよ…。言っただろ?俺にはお前しか見えないんだって」




ゆっくりと体を離される。




「……お前を愛してる、樹里。」




優しく、甘くそう囁くと…廉はあたしの唇を塞いだ。




あっという間の出来事だった。




拒むなんて、したくなかったし、出来るハズがなかった。




あたしはそれくらい…彼に溺れていたし、愛していた。




……今でも。




「……っ、ん」




スルリと舌が入ってきて、あたしは思わず彼にしがみ付いた。




廉の腕は、あたしを支えるように背中と腰に回されている。




――気持ち良い。




廉のキスは――…媚薬だ。