「だ、だって…今更なんて言えばいいの?」
あたしはギュッと服を握った。
この5年間…あたしは義父からのレイプに必死で我慢してきた。
お母さんに心配掛けたくなかったから…。
お母さんは…義父を好きになったから…再婚したんだ。
あんな最低な男でも…お母さんは惚れてしまったんだ。
だから…あたしは黙ってた。
“自分の娘が義父に犯されていた”
こんな最低な事実を知ったら…お母さんはきっと悲しむ。
もしかしたら…精神的に病んで…狂ってしまうかもしれない。
「……っ…あたしには…無理だよ…そんなこと、言えるわけがない」
あたしは廉の胸にしがみ付いた。
「樹里……」
廉はそっとあたしの背中を撫でてくれた。
優しい手の動きに、安心感が広がる。

