あたしは胸をギュッと握り、落ち着きを取り戻すとトイレを出た。
「樹里!大丈夫か…?」
トイレを出ると、廉が真っ先にあたしに歩み寄ってきた。
「うん。大丈夫だよ!心配させてごめんね?」
あたしは苦笑いを溢した。
廉は切なく顔を歪め、あたしを見つめる。
「……樹里」
廉はあたしの頬を撫でた。
「な、に…?」
あたしは戸惑いがちに答えた。
「お袋さんに話さなくていいのか?……義父とのこと」
「……っ…!」
あたしはビクリと反応した。
廉…な、んで……。
「え…何、言って……」
あたしは廉から視線を逸らした。
お母さんに話す?
あたしが……あの男に犯され続けていたことを?

