†危険な男†〜甘く苦い恋心〜


「……っ…ん…」




長い長いキスを終え、あたしはフラフラだった。




廉はあたしをソファに座らせ、腰を折って肩に手を乗せてきた。




「なぁ樹里。お前は…“過去から自分を解放してあげなきゃいけない”……と言ったよな」




「え…あ…うん」




あたしは小さく頷く。




廉……?




「じゃあ…俺に初めてをあげたかった……と後悔するのもよせ。」




「え…?」




廉の真っ直ぐな瞳に、あたしは言葉を詰まらせた。




どういうこと…?




「……確かに…俺だってお前の初めての男になりたかった。けど…今更んなこと言っても仕方ねぇ」




「……………」




「だからこそ樹里…今を精一杯に生きるんだ。もう後悔なんてしなくていいように。もう悲しまなくて済むように……」




廉は優しく目を細める。




そう……だよ。




あたしには…今がある。




いくら過去を悔やんだって、何かが変わるワケじゃない。




だったら…今を精一杯生きよう。




後悔しないように…精一杯。