「ありがとね?廉。……心配してくれて」




「樹里…」




あたしは彼の背中にギュッと抱き着いた。




「でもね…?いつかは義父と話さなきゃいけないって思ってたの。いつまでも過去に囚われて生きていくのは御免だから」




あたしはゆっくり彼から離れる。




「だから……あたしは義父と話してくる。過去から自分を解放してあげなきゃ」




気付けばあたしの瞳からは涙が溢れていた。




「……樹里…」




「ははっ、おかしいなぁ…なんで涙なんか」




あたしは咄嗟に涙を拭った。




なのに…その手は廉にやんわりと包まれ、あたしは再び腕の中に包まれていた。




「我慢するな。泣きたい時は泣けばいい。俺が傍にいるから」




「……っ、れ…」




「お前が背負ってる物、俺にも半分背負わせろ。」




廉は耳元で低くそう囁き、あたしを更に強く抱き締めた。