†危険な男†〜甘く苦い恋心〜


明日…か。




なんか……急すぎる。




あたしから電話したのに…馬鹿みたい。




ケータイをテーブルに置くと、手が自然と震えている。




あたし…ホントにあの男に会うのが怖いんだ。




怖くて怖くて…仕方ないんだ。




「……っ…廉っ…」




あたしは胸元をギュッと掴む。




なんだか今……廉の声が聞きたくて仕方ない。




廉に会いたい。




会って抱き締めてもらいたい。




“大丈夫だ、樹里”って、あの低くて安心する声で囁いて欲しい。




……あの腕に抱かれたい。




気付けばあたしは…廉の番号を鳴らしていた。




――プルルル…プルルル…




ドキドキと鳴る心臓。




廉……出るかな?




――ピッ




『はい』




機械音の後、大好きな声が耳をかすめた。