「樹里!大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとね?廉」
あたしは廉に笑い掛けた。
「礼はいらねぇよ。ほら、まだ一番大事な仕事が残ってるだろ」
……そうだ。
まだ“人質を救出する”という一番大事な任務を終えていない。
きっとまだ他の隊員もここまでは追い付けていないハズだ。
イコール…あたしと廉が行くしかない。
「廉。司令官に連絡しておこうよ」
「あぁ、そうだな。」
廉は頷いた。
あたしは無線をONにし、司令官に繋いだ。
「こちらSAT1、宮崎。司令官、聞こえますか」
機械音の後、司令官の声が聞こえた。
『桐島だ。どうした?』
司令官の低い声が耳をかすめる。
「状況報告をします。SAT1の宮崎と雨宮は無事です。犯人も2人制圧しました。これから人質の救出に向かいます」
あたしは回りに目を配りながら話した。

